2月30日

役立つかもしれない情報をノートとして残しておく。

CERN夏の学校の話

いろいろありすぎて今日の仕事に対するやる気を喪失したので、文章を書きます。(深夜のテンションと勢いで書いてしまったので、その打ち消すかも。)

http://yamaguchi-1024.hatenablog.com/entry/2020/02/24/213438

このブログ記事に海外インターンとして「CERN Summer Student Programme」が紹介されています。ちなみに、ここでは学部3年生以上向けとあり、CERNとしてはそのようにしているようですが、日本人(厳密には日本国籍の人)は少し特殊で、日本はCERNのnon-member stateなのですが、KEKを通じてmember stateと同待遇での参加が可能となっています(参考:http://oskatlas.blog71.fc2.com/blog-date-20180126.html)。その代わりに、KEKでの選考基準として、参加時点で修士1年であるということが要求されます。*1ちなみに、CERNの募集要項を見ると、

If you are a national of either Canada, Japan or United States, please apply via the following websites:

- US
- Japan
- Canada

とあるので、日本国籍保有者は恐らくnon-member states扱いでの応募は原則受け付けていないみたいです。

 

私、幸運にもM1の時にこのプログラムに参加させて頂くことができました。もう9年前(!!!)ですが。その時のことは某機関誌の記事に書いていますが、その後博士号を取得し、研究者となってCERNに滞在して研究しているので、不思議な感じがしますね。ちなみに、その某機関誌の記事にも書いてありますが、CERNには10週間滞在し、ISOLDEというRIビーム施設で、青色発光ダイオードに使われるような半導体材料のフォトルミネッセンス分光をしました。全然高エネルギー実験ではないんですが、せっかくだからと思ってあえて自分の研究とはまったく違うことをやってみたわけです。

 

CERNでの生活は大変楽しくも色々と衝撃的でした。まず、文字通り「世界中」から人が集まってきている!私は日本の地方出身で、大学までは日本人以外の人と日本語以外で話す経験すらほとんどありませんでした(英語の授業でALTの先生と話すぐらい?)。旅行好きの母親に連れられて何度か海外旅行に行ったことはありましたが、そんなものとは比べ物にならない光景が目の前にありました。ドイツ、ポルトガル、スペイン、ギリシャアメリカ、中国、韓国、フィリピン…と、色々な国から来た学生や研究者が、"英語"というコミュニケーションツールを利用して、研究や生活を楽しんでいました。

 

それと同時に衝撃だったのが、自分の英語力のなさと、それゆえに学生グループの中になかなか入っていけない!(まぁ、そもそも人見知りっていうのもあるんですが)研究は良いんですよ、決まりきった単語しか使わないし、わからなきゃ何度でも聞き返すだけだし。ドイツ人グループに映画を見る会に誘われて行ってみたけど全然わからんし、そのあとだべってる時間ずっとドイツ語じゃなくて英語でしゃべってくれてたのに会話に入ってけないし、だいぶ悔しい経験もしました。

 

まぁ、とにかくインプレッシブな10週間でした。CERN夏の学校に参加する前は、私は漠然と「理系で修士ないと就職大変らしいから適当に頑張って修士とろう、そしたらそれなりの企業の就職して、ごく普通のサラリーマンとして日本という国で一生を終えるんだろうなー。」と思っていたのですが、この経験があまりに衝撃的過ぎて、博士進学してもうちょっとこういう国際共同実験で研究してみようと決意したのでした。*2それからn年が過ぎたいま、所属も生活拠点も海外にあり、もちろん英語にはとんど抵抗なく、日々ミーティングでもコーヒータームでもガンガン議論しています。以前はミーティングで英語での報告するだけでビビってたけど、今となっては1時間以上しゃべりまくるとか、自分がチェアとして議論を仕切るとか平気でやっているので、自分のことながらちょっとだけ成長を感じる。

 

というわけで、CERN Summer Student Programmeは研究者としてという意味だけでなく、人生の視野を大幅に広げられるとてもいいインターンだったと思います。

*1:"日本国外の大学・大学院に在学中の者は、CERN加盟国へ提示されている学生の条件と同等とします。"ともありますね

*2:これだけで博士進学を決意したわけではありませんが。