2月30日

役立つかもしれない情報をノートとして残しておく。

フランスで車を「紛失」した話

私は現在、フランスに住んでいます。なぜかというとスイスの研究所で働くため。雇われているのはドイツですが・・・色々複雑ですね。まぁ、ともかく住んでいる国はフランスです。フランスで住んでいるのは、職場から8 kmほど離れた「村」なので、車がないとかなり不便です。右ハンドルのMT車、最初はおっかなびっくりだったし交差点でエンストしてクラクションを鳴らされるなんてよくありましたが、2年近く乗っていたらだいぶ慣れました。

 

さて、いま乗っているこの車は2006年製のプジョー207で、中古で2000ユーロで買ったんですがまぁ値段相応という感じでガタが来ています。そして11月も終わりのとある日の夜、隣町のケバブ屋で夕飯した後、駐車場から出ようとしたら、エンジンがかからない。。。セルモーターは回るけれど、モニターに"ANTI THEFT FAULT"という出る状態で、どうも盗難防止装置が解除できなくなったようです。

どうしようもないので、保険会社に依頼してレッカー移動してもらうことにします。電話受付のオペレーターは一応英語をしゃべってくれるのですが、、、しばらくして、レッカーの運転手から電話がかかってきました。

ぼく:"Hello?"
運転手:"◎$♪×△¥○&?#◎$♪×△¥○&?#$◎$♪×△¥○&?#$, d'accord?"(フランス語で何言ってるかわからない)
ぼく:"Pardon, est anglais ok?"
運転手:"Non! ◎$♪×△¥○&?#◎$♪×△¥○&?#$◎$♪×△¥○&?#$, d'accord?"
ぼく:(これどうしようもないじゃん)"...d'accord..."
運転手:"C'est bon!"

切られた。。。結局指示がわからなかったので、エンジンもかからない寒い車内で、いつ来るかもわからないレッカーを待つハメに。。。結局1時間半ぐらい待って、ようやくレッカーが来ました。フランス語しか話せない運転手とGoogle Translateでコミュニケーションをとりながら*1車を一通り見てもらい、結局その場では直らないとのことだったので移動してもらうことに。その運転手が10 kmほど離れた整備工場(シトロエン)を指定してきたので、そこに運んでもらうことにしました。翌日、指定された整備工場に連絡を入れて、これで修理もしてもらえるー何とかなったかぁ~。・・・と安心した私は、まだフランスの恐ろしさを理解していなかったのだった。

 

翌日、整備工場から電話があり、

「うちはシトロエンだからプジョー車は対応できない。プジョーに頼んでくれ。」

と。・・・は?だったら昨日の時点でそう言えよ。仕方ないので、もう一度保険会社に電話して、シトロエンから近いプジョー代理店に車を移動してもらうように依頼しました。保険会社も、一応英語で対応はしてくれるんですが、英語対応できるオペレーターに回されるまで5~10分ぐらいかかるので、あんまり電話したくないんですよね。。。プジョー代理店側からも、今の時期混んでるから2~3週間ぐらいかかるけど、と言われつつも了承をもらい、一件落着。その後、プジョー代理店から連絡が一切なかったのが少しだけ気になりましたが、まぁその2~3週間の間放置されるなんてフランスではありがち。シトロエンの整備工場とプジョー代理店、ともに住んでいる場所から10 kmほど離れていて、バスや交通機関も直接通じていないので、自分で確認に行くこともできないですし、電話するとまた面倒なので、とりあえず待つことに決めました。その後、年末のため僕はイスラエル経由(ただの観光です)で日本に戻りましたが、なお一向に連絡がありません。こちらから電話をすると国際電話になって高くつくので、プジョー代理店には何度かメールを入れてみましたが、すべて無視されてしまいました。。。*2

 

1月に入り、冬休みが終わって台北経由(これも観光です)でヨーロッパに戻りました。この時点で車に関してだいぶ不安になっていたので、到着してすぐにプジョー代理店に電話しました。

「うちには今はプジョー207の修理依頼は来てない。」

・・・は?なんで??じゃあ、僕の車はどこに???面倒ですが、保険会社に電話して状況を聞くしか、今のところ車の所在地を知る術はありません。で、保険会社に聞いたところ

シトロエンの整備工場に聞いたら『クライアントが修理依頼してきたからもう修理してる』と言われたので、移動してない。状況は整備工場に聞いてくれ。」

と。
・まず、修理依頼出してないし。
・そもそもシトロエン側からうちじゃ診れないって言ってきたじゃん。
・そして保険会社はこちらの依頼を完了してないのになぜ連絡してこない?
どこから突っ込めばいいかわからなくて、一瞬固まってしまいました。

とにかく、車はシトロエンの整備工場にありそうですので、今度は整備工場に電話します。*3そしたら

「うちにはプジョー207は今入ってない。」

・・・は???じゃあ車はどこに行った???まさか、車を「紛失」する事態になるとは夢にも思いませんでした。恐るべき国、フランス。

 

また保険会社に電話。この時に対応してくれたオペレーターがとても親切で、神でした。そのマダムがシトロエンの整備工場に細かく状況を聞いて情報を整理してくれた結果
・車はいまシトロエンの整備工場に確かにある
・整備工場側は、何度もクライアントに電話してvoice messageを入れたと言っている
・とにかく、修理するならサインが必要なのですぐに来てほしいと言っている
うーん、voice messageなんて一度も入ってなかったけど・・・とにかく、車の所在が分かったので、知り合いに急遽お願いして車を出してもらい、整備工場に向かいました。

 

結局、整備工場に車はありました。鍵が壊れて、それに連動した盗難防止装置が解除できなくなった、予備キーを使うか、なければ新しく鍵を作れば問題ない、と。普通は予備キーがあるらしいのですが、大分古く何人ものオーナーを渡り歩いてきた僕の車、予備キーがありませんでした。よって、鍵の交換(200ユーロ)となりました。これの依頼書にサインするときに気づいた・・・そこには、まったく知らない固定電話の番号が書いてありました。つまり、彼らは僕に電話しているつもりで、まったく知らない人に何度もvoice messageを残していたようです。なんでそうなるのか、本当に意味が分かりません。で、数日後に「鍵が届いた」と連絡があり、1月も中旬になってようやく車が戻ってきました。なんで、鍵の交換で済む話に1ヶ月半以上もかかったのか。とにかく、大変疲れた経験でした。

 

フランスに住んでいるのにフランス語を使えないというのは明らかに僕の落ち度で、そのせいで多少余分な労力を要するのは仕方ないと思います。また、僕は基本的に郷に入りては郷に従えだと思っていて、ある国に行ったらその国の文化を尊重します。しかし、ここまで何も確認せず、脊髄反射で間違ったことを無責任に平気で言うのは本当に理解できません。とにかく、車が直ってよかった・・・*4

 

*1:文明の利器、万歳!

*2:これはフランスではありがち。電話社会のようで、ウェブサイトにメールアドレスや連絡フォームがあっても、ちゃんと変身が来る確率は50%未満です。

*3:ちなみにこの時、1回目の電話は英語でしゃべろうとして断られました。なんとなく、フランス語でしか対応してないからフランス語を喋れる友達に頼んでくれ、みたいなことをいっていましたが、その時フランス語を喋れる知り合いが近くに誰もいませんでした。5分ぐらい考えて、やっぱりどうしようもなかったのでもう一度電話をかけたら、こんどは別の人が出て普通に英語で対応してくれました。殺意が湧きました。

*4:ちなみに、この3週間後にエンジンが不調となり、プジョー代理店にもっていったところ車検を通せるようにするには3000ユーロかかると言われ、即日廃車となったのでした・・・鍵の交換で支払った200ユーロは何だったのか。